rage30

グッバイ、レーニン!のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

記憶喪失になった母親の為に、東ドイツの社会主義体制を偽装する息子の話。

なんとなくシリアスな作品を予想していたのですが、実際はコメディーライクな作品でしたね。
社会主義体制が維持してる様に見せる為に、古い食品の瓶を探したり、自分達でニュース番組を制作したりと、あの手この手で母親を騙そうとする主人公の姿がユーモラスに描かれます。

基本的には笑える話なんですが、その一方で、資本主義に染まっていく東ドイツの姿を風刺した作品でもあって。
ベルリンの壁崩壊から数ヶ月で、すっかり街の景色を変えてしまう資本主義の勢いは凄まじいものを感じました。

また、そうした社会の急激な変化についていけない人達もいて、主人公の行動にノスタルジーを覚えてしまう人がいるのも切ない部分。
まぁ、逆に東ドイツの社会主義体制に馴染めなかった人(主人公の父親)もいるわけですから、一概に同情は出来ないんですけどね。

結局、主人公は最後まで母親に嘘をつき続けるのですが、おそらく母親は現実を認識していたのでしょう。
それでも、息子の嘘に乗っかってあげる優しさと言いますか…。
政治信条を超えた、普遍的な家族の愛に帰着するのも良かったなと思います。

ちなみに、主人公を演じるのはダニエル・ブリュール。
最近のハリウッド映画でも、ちょくちょく見掛ける彼の若手時代を見れるのも嬉しいところ。
映画ファン的にはダニエル・ブリュールの出世作としてもオススメですね。
rage30

rage30