逃げるし恥だし役立たず

ベルヴィル・コップの逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

ベルヴィル・コップ(2018年製作の映画)
2.5
パリのはみ出し警察官バーバ(オマール・シー)が親友を殺害した犯人の捜査に米国マイアミを訪れる。監視役の地元刑事リカルド(ルイス・ガスマン)がバーバのペースに嵌められていく内に意気投合して二人で犯罪組織に立ち向かっていくアクション・コメディ、題名通り所謂エディー・マーフィーのビバリーヒルズのアレである。
キューバ移民のマイアミ最弱刑事とアフリカ系フランス人の暴走刑事とのタッグ、二人が共通して母親想いと云う設定も悪くなく、仏国パリから米国マイアミやアフリカのダロア国のロケーション、探偵気取りのバーバの母親の存在も効いていて意外に面白いのだが、80年台に流行った傑作バディムービー『48時間』の脚本家の一人のラリー・グロスによる謂わば焼直しで、本家が物語云々よりもエディー・マーフィーの魅力のみに拠るものであった事から本作に目新しさは感じられない。親友を殺害された捜査なのに終始に渡って母親同伴のリゾート気分で、全体的に緊迫感や緊張感が足りずテンポが悪過ぎる。バーバがマイアミのクラブで喚いたり、港湾倉庫で密輸捜査をしたりと型破りな捜査も何処か物足りず、肝心のクライマックスのアクションも巨悪な犯罪組織が相手の割に呆気なく終わってしまう。彼女のリンの存在も不要で、パリではチャイナタウンが舞台と云う中華資本の映画の癖に悪い意味でのフランス映画の緩さが鼻に付き、しっかりと映画しているのに色々と勿体無い印象の作品である。