改名した三島こねこ

粛清裁判の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

粛清裁判(2018年製作の映画)
3.4
<概説>

スターリンが独裁を開始する直前、国民的一大裁判が発生した。ソ連の存続を脅かすとされたテロリスト達は銃殺刑を宣告され、その報いを受けることになる。実際には彼等は何もしていない筈であったのに。

<感想>

冒頭はハッキリと退屈な時間が続きますが、これはいいですね。この産業党事件を知らなかっただけに、ますますラストを気に入りました。

あらすじを聞いただけだと「あれ?冤罪ではないよね?」と不思議に思います。被告人は皆容疑を認めていて、粛々と判決を受け入れていますから。

しかしこの疑問がラスト数秒で瓦解する。

すべての為政者がそうであるとは言わないものの、あってもおかしくない陰謀が目の前にあったのに。観客は誰もそれに気が付かない。

むしろ衆愚は為政者の思惑にのせられてお祭り騒ぎ。

ああこの光景は日常的に見覚えがあります。

民衆は民衆である前に、個人として成長しなくては。いつか成長した個人にまんまと踊らされてしまう。

そんな強烈な皮肉を感じました。