<概説>
スターリンが独裁を開始する直前、国民的一大裁判が発生した。ソ連の存続を脅かすとされたテロリスト達は銃殺刑を宣告され、その報いを受けることになる。実際には彼等は何もしていない筈であったのに。
<感想>
冒頭はハッキリと退屈な時間が続きますが、これはいいですね。この産業党事件を知らなかっただけに、ますますラストを気に入りました。
あらすじを聞いただけだと「あれ?冤罪ではないよね?」と不思議に思います。被告人は皆容疑を認めていて、粛々と判決を受け入れていますから。
しかしこの疑問がラスト数秒で瓦解する。
すべての為政者がそうであるとは言わないものの、あってもおかしくない陰謀が目の前にあったのに。観客は誰もそれに気が付かない。
むしろ衆愚は為政者の思惑にのせられてお祭り騒ぎ。
ああこの光景は日常的に見覚えがあります。
民衆は民衆である前に、個人として成長しなくては。いつか成長した個人にまんまと踊らされてしまう。
そんな強烈な皮肉を感じました。