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DAU. ナターシャのgisujunのレビュー・感想・評価

DAU. ナターシャ(2020年製作の映画)
4.0
軍施設内の食堂で働くナターシャと若いオーリャ。仲が良いのか悪いのかいつも些細な事で喧嘩をするのです。説明描写が一切無く、二人が何処で働いてるのかすらよく分からないのです。

パーティ会場でナターシャが中年のフランス人博士と性行為をするのですが、その描写を生々しく延々と観てる側が困っちゃうくらい描くのです。さらにナターシャとオーリャがベロンベロンに飲みまくり、酔っ払いのたわ言をまた延々観せられると、この映画大丈夫か?と先の見えない展開に不安しかありませんでした。

映画も終盤に差し掛かったところでドラマが一気に急変します。ナターシャがある罪で尋問に合うのですが、この尋問シーンが映画と思えない怖さなのです。相変わらずねっちりと描くので恐怖感が半端じゃない。
あるシーンで瓶が割れ、ナターシャが瓶のかけらを踏むのではないかとハラハラしました。それは演出とかではなく、本当に踏んでしまい怪我をするのではないか?この映画なら踏んでも続行しそうな雰囲気、先の見えないドラマ展開に恐怖しました。

尋問から開放されナターシャは普通に出勤し、オーリャとまた些細な喧嘩をするのですが、ナターシャはもう昨日の彼女では無いのです。ヴィターリー・カネフスキー監督の「動くな、死ね、甦れ!」に似た生々しさがありました。人におすすめも出来ないし、2回観ようとは今のところ思いませんが、素晴らしい映画体感でした。
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