Sachika

砕け散るところを見せてあげるのSachikaのレビュー・感想・評価

3.7
オンライン試写にて。

人を襲うUFOが不穏に頭上を漂い、今にも私達から何かを奪おうと潜む。
そんな時にヒーローは駆けつけるのだ。

虐められていた玻璃を助けた清澄は、彼女を気にかけるうちに、自分が彼女のヒーローになって助けたいという気持ちと、恋心でいっぱいになる。
しかしそんな清澄に玻璃は言う、「悪いUFOがやってくる」と。

愛や勇気は力の源で、人は誰かのヒーローになれる。
その想いは連鎖し、今日もまたどこかで、誰かのヒーローが生まれる。
その大きすぎる愛の力は美しくも切なくもあり、孤独を救うヒーローはの姿は些か浮世離れしている気もする。
しかしながらその愛が倒錯している様にも感じられて、何だかざわざわと心の震えが止まらなかった。



内容について、まず登場人物達が役にマッチしているし、演技がすごく良い。
堤さん、サイコパス感すさまじくて震えた。
絶対劇場で観たらちびる。
石井杏奈さんもすごい。
いじめられている時の頭がおかしい感じも、コロコロと表情が変わる明るい面も、クライマックスの痛々しい姿も、全部同じ人なのかと疑うレベル。

そしてメタファーや主人公の熱量、セリフの言い回しに、ついていけないかも?と最初は不安に思ったけど、蓋を開けてみるとそれが物語の本質だし、味なのだと気づいた。
冒頭はいじめられている子を助ける青春ストーリー風で、段々とサスペンス?ミステリー?SF?と物語に引き込まれて行き、気づくと壮大なラブストーリーだと解釈出来る。


度々出てくるUFOの真の意味、
・最初に玻璃が言ったUFO
・清澄に忍び寄るUFO
・事件解決後の清澄と玻璃、それぞれのUFO

UFOの意味を自分なりに考え、物語の意図に気づいた時、ゾクゾクと鳥肌が止まらなかった。

原作がとらドラ!の竹宮ゆゆこさんとのことで、原作も読んでみたいかも。
映像では、目にしているのが、現代なのか過去なのかという時代背景や、親子関係などの相関図が丸わかりだったけど、原作ではそれもトリックの一つだったようなので・・・。

#砕け散る賛否両論
確かに一見意味がわからないし、気持ちが重すぎる・熱すぎる、ヒーローとか寒い、登場人物が危機感なしに話過ぎ、思うことはいろいろあるとは思うけど、比喩しているものが何かを考察する作品だと考えると、この作品は格段に面白くなる。
これは気づいた者勝ちなのかも。
Sachika

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