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スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のShinMakitaのレビュー・感想・評価

2.0

パリ。無認可の自閉症ケア施設「正義の声」を運営するブリュノの携帯がひっきりなしに鳴っている。病院や施設は屋外活動ができない子供の世話を依頼してくるし、急な用事で面倒を見られなくなった親も、子を預かってくれと懇願してくるのだ。「正義の声」は、公的機関が匙を投げた問題症例も無条件でケアしてきた。収容スペースもスタッフの労力もキャパオーバー気味だが、ブリュノは決して諦めようとはしなかった。そんなブリュノをサポートするのは、職業訓練校「寄港」の主宰マリク。職にもつかず学校にも行かないフラフラする若者たちを指導し、ケア支援員を育てるマリクは、ブリュノが世話する自閉症児の屋外活動の引率を指揮していた。ある日、ブリュノがヴァランタンという自閉症児を預かった。感情が不安定で暴力的、他の施設で断られ続けた子だ。マリクは新人ディランをケア担当に指名するが、なかなか上手くコミュニケーションが取れず苦戦してしまう。そんな中、厚生省の監査が「正義の声」に入った。キャパオーバーのうえ無資格の少年たちを支援員として雇っていることは大いにマイナスとなる。下手をすれば施設閉鎖となるかもしれない…


「スペシャルズ! 〜政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話〜」

…副題が長ぇーよ!


以下、ネタバレ押した。わざとじゃないよ。



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タイトルに「実話」と入れるのはダサい!と夜更けにバナナ欲しがる映画の時に言ったけど、配給会社は全くそうは思ってないみたいね。故意に長ったらしい副題付けてるのは、「SNS時代でバズるブログのタイトルっぽいよね」という意図だろうが、やっぱりダサいよ。やめた方がいい。

さて本作。主演がヴァンサン・カッセルとレダ・カテブ。渋いコワモテですよ。ノワール好きなら、この2人が共演となったら刑事バディものか「ヒート」のような対決ものかと期待しちゃうけど、今回はアクションも銃もありません。忍耐強くて柔和なカッセルと、教育者として時に厳しくも熱心なカテブが見られるのです。日本に置き換えたら誰かなぁ…小沢仁志&遠藤憲一が理想だけど、女性客呼ぶなら椎名桔平&高橋克典だろうな^_^

ストーリーとしては、特に意外性はなく、想像通りの展開とオチ。でも、だからといって退屈なわけではなく、フランスの(フランスに限らないけど)福祉問題を浮き彫りした意義とか、教育の意味とかを学ぶ上で非常に良い作品だと感じ入りました。「正義の声」vs「寄港」のクイズバトルにほっこりし、ジョゼフの通勤とヴァランタンの挙動にハラハラし…という具合に映画的に楽しい部分も多いしね。
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