2021年41本目
全体に漂う虚しさと渇いた空気感は、さながら和製『スリー・ビルボード』。
『ヒメアノ〜ル』の吉田恵輔は、この世界の厭な感じを描くのが本当に上手い。
背中のショットで語る映画。
何よりキャスティングが秀逸。
追い込まれていくスーパーの店長を演じ切る松坂桃李は、もう同世代の役者の中では頭一つも二つも抜けてしまった。弁当屋への電話のシーンなんて最高。
"善意の人"を演じた寺島しのぶの脅威的なハマり役っぷりと、最近良い役続きな藤原季節にも感心。
空白だらけの世界の中に、微かな希望を見せるラストに泣けた。