かわとも

ミッドサマー ディレクターズカット版のかわとものレビュー・感想・評価

4.0
美しい白夜の夏至祭。
白い衣装ときれいな草原。
作り物様に、きれい。

オープニングの壁画や、部屋に飾ってある絵画から沢山の伏線があるようです。
そして、コミュニティの中で北欧のルーン文字も登場。これも伏線になるのかなあ。文字の意味を考えて見てると更に面白いと思います。

パニック発作をかかえ、抗不安剤を服用してたダニ。
コミュニティに入ってから、野暮ったさが抜け、段々とキラキラしてくるのが恐ろしいくらい。

コミュニティの手前で入る時間を待ちながら、トリップする彼ら。その様子、感じ方を観客にもわかるように表現してくれてるのが面白かったです。
そして。
コミュニティへ歩いて入る。
車で来たのにわざわざ歩く。車を置いて…。
入る道には黄色い花。
アレです。オズのよう。

お客様として歓迎されるのですが、アッテストゥパンの儀式を境に、何のためにここに招待されたか。わかりますよね。もう帰さないってつもりなんだなと。彼らは。

ダニはショックを受け、奇妙なコミュニティだ出たい。と言っていたのに、台所仕事を手伝ってと言われて、すんなりと加わります。実はダニはコミュニティに違和感がないようです。

彼氏のクリスチャン、なんかうだうだしていて。なんだかなぁ〜と思っていたのですが、途中で結構嫌なヤツな事がわかってきました。
あー、こんな男なら捨ててしまえ!と言いたかった。

閉塞した環境に必要なものは外部の血。そして、同じ考えを持てる人たち。選ばれた招待客。

ダニはこのコミュニティの共感力に癒されていきます。
辛い日を送った彼女にはここが唯一の安らぎを得られた場所なのかもしれません。丸ごと受け入れてくれて、彼女を嘲笑しない。

ある意味、解放の物語。

キレイだけど、毒がある…。
きらいじゃないです。
カルトの思想の押し付けは大嫌いだけど。
ムービーとして。

北欧神話の知識もあると、更に楽しめると思います。

ダニはそのままコミュニティに残るのでしょうか。
いや、残るしかない。出してもらえるのはきっと、男の巡礼の年のものだけ。
女は選ばれたモノならば出産。
あ、ペレが相手になるのかも。

メイクイーンは捧げものではないんだろうか?
祝福を与えるシーンでは、ダニが後ろからアタマかち割られるんじゃないかと、ヒヤヒヤしたんですが。
この点だけ、どう捉えようか、というところです。

何回か観ないとなんですが、心が弱ってる時はやめた方がいい作品です。
かわとも

かわとも