フィルさん

護られなかった者たちへのフィルさんのネタバレレビュー・内容・結末

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

簡単にレビューできない作品。終始辛くて息苦しかった。
穏やかとも静かと言えないけれど、ラストシーンで流れたあの海が豹変した姿を目にした者は誰も忘れられないと思う。
誰の立場に立ってみてもどうしたら良かったのか、まだマシだったのか、考えが浮かばない。
心を殺して役場の仕事をするのも相当しんどいだろう。その一方で私利私欲の為に不正受給をしている人もいる訳で。
不埒な者の声は図太いし大きい。とても力強いメッセージだと思ったけれど、それに勝る声を上げるのは正直私には無理だと思ってしまった。メッセージは本当に伝わったけれど……。
瑛太さんが死に行くときに目に写していたものは震災の様子だったし、緒方さんはこれから訪れる自分の死に対する絶望ではなく、もう自分自身に絶望しているようにも見えた。
もしもそれに幹ちゃんが気付くことができたら何か変わっていたのかな。
最後、阿部さんが佐藤くんに「ありがとう」と言ったけれど、そのひとことで彼の心のほんの少しの部分だけでも護られていたらいい。
「ありがとう」「ごめんなさい」「おかえりなさい」些細な言葉だけれどそれで護られることってある気がする。
フィルさん

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