ねこ

ワイルド・サバイバルのねこのレビュー・感想・評価

ワイルド・サバイバル(2016年製作の映画)
2.2
映像業界で働いている者として映像のタブーについて解説していきたいと思います。

まず絶対に守らなければいけないルールとしてイマジナリーラインという物があります。
例えば2人の人間が向かい合って喋っている時に、その2人を線で結びます。
一人は右向き、もう一人は左向きで喋っているのを線を越えて撮影してしまうと反対向きになり、さっきまで右向きで喋っていたのが左向きになってしまい、誰もいないはずの左に向かって喋ってしまうことになります。
進行方向についても同じ事が言えます。
左から右に向かって追いかけている人と逃げている人を線で引いた時にラインを越えてしまうと右から左に向かって追いかける事になり、いつの間にかターンして左へ戻ってしまう事になります。
ターンする場面を映してしまうか、カットせずにステディカムで回り込んでしまえば位置関係は説明できるのでこの場合は例外です。
この越えてはいけない線の事をイマジナリーラインといいます。

もう一つやったらあかんのは人物のミラーリング(反転)だと思います。
左右対称の人間ってほとんどいないので反転させてしまうと別人になってしまいます。髪の分け目、両目のバランス、口や鼻の歪み、ほくろや傷など反転すれば必ずバレます。
(インスタとかで反転した写真載せてる人多いので、最近はあまり気にしない方が多いようですが...)
背景に看板などが映ってれば文字が反転するので一発でバレますし、顔や文字だけで無く、服の反転に問題があり、ボタンやフォックなど男性用と女性用で左が前か右が前かが決まっている事が多いのでスーツやシャツを反転させると異性の衣服を身につけた状態になります。
着物や和装の場合はもっと最悪で、襟元を反転させたり、反転せずとも鏡に映って反対になっている場合、これは死装束といって死体に着せる着方になります。

この映画は同じ方向に進み続けたらいつか辿り着くといっている以上、戻らせるわけには行かないのか、左から右に進む場面を作る為に、映像を反転させてでも右に進ませています。
そのせいで髪の毛の分け目が変わるし、
シャツのボタンが逆になっているし、
左頬に傷を負った主人公の傷がたまに右頬に変わります。


絵コンテの時点で気付けや!!
ねこ

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