モリユウキ

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのモリユウキのレビュー・感想・評価

-
祝在外3か月耐久ということで自分へのご褒美についにネットフリックスへ加入!
と、いうことで話題作で気になっていたオリジナル作品の本作を第一作に選んだわけですが、いやあ、舌を巻きました。
アメリカの(おそらく)保守的地域に住んでいるインテリ中国人移民家庭の同性愛者のティーンレディが、他人のために自分の好きな人へのラブレターの代筆をする、という映画の設定自体が既に語れることをこれでもかという位に含有しており、そしてこのグローバリゼーションの時代にはこうした現実はどこかで確実に存在しているだろうと思うと、あの天下のアメリカからこの幾層にも折り重なるテーマを含有する映画が生まれているということにまず驚きます。
個人的にはアジア人であるが故言葉に不自由するチョウのお父さんと、アフリカで生きているという自分の境遇に思いを重ねてしまいました(それ故ポールに中国語で独白するシーンはすごい共感して観た)。
でも一番個人的にグッときたのは、ポールが自分の意志がありながらも土地固有の縛りにとらわれて、自分のタコスソーセージで独立できないということを訴えるシーンだったかも。僕自身が片田舎の出自であることを踏まえて、彼の土地や家族からの緊縛と、その中においても自己を表現し外部へ訴えたいという若さと世代の入り混じった思いにとてもシンパシーを感じました(そしてその彼が地元マインドとリベラルマインドを織り交ぜたアクションを取っていることがこれまた良い!)。
これだけ一作品の中で重層的にテーマを投げかけて、物語として破綻させないネットフリックスオリジナル作品、恐るべし。こういうのがゴロゴロあるのが今のサブスクリプションなの?すごいな。