碧

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからの碧のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

中国系アメリカ人の二世で、レズビアンと、二重にマイノリティに属する主人公。賢く、ユーモアがあり、音楽のセンスもあるが、移民の父親は英語に馴染めず引きこもりがちで、本人も「チューチュートレイン!」と揶揄されたりと、孤立している。
しかし、ポールという青年から、アスターというクラスメイトへのラブレターの代筆を頼まれたことから、彼と親しくなり、さらには知的で魅力的なアスターに共感と恋心を抱くようになっていく…というようなストーリー。
マイノリティの問題に触れているが、娯楽として楽しめる程度に明るく、前向きな物語だった。同性愛の要素が含まれると、どうしても差別など重いテーマになってしまいがちなのだけど、海外の映画の、それを敢えて取り沙汰すことなく、自然に描くところがとても好き。アジア系の、特別美人なわけでもない(魅力的でないという意味ではない)女性が主人公なのも嬉しい。
そもそも移民問題や性的マイノリティが主題というわけではない。主人公も序盤の語りで「これは恋物語でも、誰かが何かを得る物語でもない」と言っている。むしろ、スタート地点に立つ物語のような気がする。色々なしがらみの中で自分を偽って生きてきたエリー、ポール、アスターの3人が、出会いによって偽ることをやめて歩み始める物語だと思う。タイトルの通り、まだまだ道半ば、けれどそれぞれ3人とも先を見据え、希望に向かって力強く歩いている。爽やかな若者の物語だった。
碧