愛という形容し難いものに真摯に向き合う、とても繊細で温かみのある青春映画。
青春というのは、偽りのない自分とはなんなのかということに否応なく向き合わされるし、少しでも違和感があるとそれに苦しむことになる。
若い時は自分の中にある世界が狭いからなおさら苦しい。
この映画の主人公三人は、それぞれに自分をごまかして生きている。
意識的にも無意識的にも。
そしてそれに納得がいっていない。
彼らの中の世界が狭いことを象徴するかのように、舞台となっている町も田舎で狭い。
そんな彼らが恋愛に巻き込み巻き込まれることによって、いつのまにか自分に向き合い成長していく。
愛って損得を超えたところにあって、損得を超えるからこそ人の心を動かすのだと思う。
エリーは最初損得でしか物事を考えていなかったのだけど、それが変化していくのがとてもよかった。
最後のシーンが明確にそれを物語っていてとてもあたたかい気持ちになれた。
ロジカルで内向的なエリーと単純で飾らない明るいポールは相性がよくて微笑ましいコンビだった。
だんだんこの二人のことを魅力的に感じて、最後には好きになってしまっていた。
大人になると自分の世界が広がっていろいろなことを理解できるようになる反面、自分をごまかすのが上手くなってごまかしていることにさえ気づけなくなっていく。
それを許さない多感でピュアな感覚は、少し青臭くも感じるけれど愛おしいもので、これからも忘れたくないなと思った。