うたまるさん

ヤクザと家族 The Familyのうたまるさんのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.0
やくざと家族。まさにぴったりなタイトル。

仲間たちと非行行動を繰り返していた山本は、覚醒剤により命を落とした父の一件から本人も覚醒剤使用を疑われる。
誰よりも覚醒剤やそれを売ったやくざを嫌う山本は、ある日覚醒剤の売人から覚醒剤を奪い、海に投げ捨てる。
そのことをきっかけに俠葉会の加藤と川北に拉致され、仲間と一緒にリンチを受けてしまう。

しかし、直前に馴染みの食堂で出会った柴咲組の柴咲から名刺を貰っていたことで、大きな抗争を避けたい俠葉会から解放される。
家族、特に父親に飢えた山本は助けてくれた柴咲の人柄に惹かれ、柴咲から盃をもらいやくざになることを決意するのだった。

山本の非行少年時代(1999年)と柴咲組の組員としてバリバリのヤクザ時代(2005年)、そして刑務所を出所した後の暴対法に苦しむヤクザ引退後の時代(2019年)という3つの時代を丁寧に描いた秀作。
どの章でも「やくざと家族」がテーマになっており、役者もシナリオも演出も全てにおいてバランス感の良さを感じた。

やくざという特殊な世界観からどうしても観る人を制限してしまうように思えるのだが、映画「新聞記者」製作チームによってテンポの良いヒューマンドラマに仕上がっている。
これなら男女問わず楽しめるんじゃないかな。

それにしても俳優陣が良かったなぁ。
個人的には綾野剛と磯村勇斗が良かった。最後の章では市原隼人もとてもいい味を出してた。
柴咲博を演じた舘ひろしについては、演技や本人の熱意に関しては文句なしなのだが、対立している俠葉会の加藤らに対して凄みを効かせるシーンなどでも舘ひろし本来の人の良さが出てしまい、観ていて違和感を感じてしまいました。
役者としての評価は個人的に低いが、柴咲組の組長は北野武あたりが適任だったかな。おっと、あくまでも個人の感想ですよwww

ストーリーについても申し分なく、血のつながった家族と血はつながらなくても心のつながった家族(ファミリー)の物語をこれでもか!と言わんばかりに伝えてくれています。
また、3つの時代の移り変わりを山本というやくざを通じて表現している。やくざも暴対法によって、どんどん肩身が狭くなっていって、若い時から一緒だった細野(市原隼人)でさえ山本と過ごした過去に人生を狂わされてしまう。
最後に二人で抱き合うシーンは印象的だった。

タイトルからは任侠映画を想起させてしまうが、しっかりヒューマンドラマを観たいという人にオススメです😊
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