玉生洋一

太陽がいっぱいの玉生洋一のネタバレレビュー・内容・結末

太陽がいっぱい(1960年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

名作を遅ればせながら鑑賞。
序盤からラストまで隙のない緊張感。
何気のない風景の映像が流れているときですら張り詰め続ける緊張の糸。

鏡にキスする主人公。
ヨットでの殺人。
手塚治虫の「バンパイヤ」や「MW」に影響を与えたりしているのだろうかと思った。

2度目の殺人の直後、窓の外の遠くの道端で無邪気に遊ぶ子どもたちをぼんやりと眺めるシーンが印象的。
自分にも無邪気に過ごせた時代があったが、もうそんな時を過ごすことは生涯ないのだという虚しさか。

なぜ同じ島に何度も帰ってくるのかが謎。
大金を手に入れたら遠国の都会へと逃げれば安泰なのに。
若さと大金があれば別の美女と幸せになれるだろうに。
殺した男の婚約者しか愛せないのは、若さゆえの視野の狭さか。

すべてうまくいったと思った後の
ヨット引き上げからのオチが衝撃的。
その後の「電話です」と呼ぶシーンは蛇足では。

マリー・ラフォレの美しい眼力。

※2023.4 NHK BS4K。