スナフキン

タミー・フェイの瞳のスナフキンのレビュー・感想・評価

タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)
3.9
タミー・フェイ。アメリカでは有名な方のようで、主演のジェシカ・チャスティンが、独特なメイクで嘲笑されることもあったタミーのドキュメンタリーを観て、パブリックイメージと異なる彼女の物語の映画化を熱望しプロデュースまでしたという本作。

日本では馴染みのないキリスト教のテレビ伝道師として、番組を持ちレジャーランドまで作って信者から熱狂的に支持された夫婦の実話を描いた物語。

厳格な教義というよりは快楽、ポジティブ発想に寄った教えをテレビで広めることでみるみるうちに信者を獲得し大成功を収める2人。やりたい放題の豪華な暮らしから、夫のジムのスキャンダルや脱税などで転落していく様は、成り上がりストーリーのテンプレのようでもあるけれど、タミーは当時のキリストでタブー視されていたゲイやエイズ患者を受け入れたり、男性社会で厚かましくもたくましく生き抜いていく姿はいまの多様性が求められる社会の先駆けの感覚を持っていた人なのかも。

そしてそれこそが、フェミニストであるジェシカチャスティンが伝えたいテーマのひとつであるかもと思いました。

なによりジェシカ・チャスティンの演技力に脱帽。強烈なインパクトを残す。歌もうまいよね〜。
最後に出てくるご本人の声と動きにそっくりで、特殊メイクもあるけれどもはやジェシカには全く見えない。ラストの歌のシーンも堂々たるカリスマ伝道師の面影を彷彿とさせる名演。
相手役のアンドリュー・ガーフィールドもうまい。うさんくさい感じがリアルに感じられて、ほんと幅の広い役者さんです。

この作品は俳優のパワーでよい方向に引き上げられてる。評価は2人の演技で加点です。
大好きなジェシカがアカデミー賞を獲ってほんとよかった〜と喜んでましたが、この演技はたしかに彼女の新境地と言えるかもしれません。
時代ごとのタミーの変化は一見の価値ありです。