ざわさん

イングリッシュ・ペイシェントのざわさんのレビュー・感想・評価

3.6
2022年 35本目

冒頭、男女が乗るプロペラ機が砂漠のど真ん中で撃墜されるシーンから始まる。この男女の関係は何なのか、どんな時代背景ななのか謎のまま。そこから徐々に明かされていく主人公の過去。現在パートと過去パートが並行して進み、主人公がいかに残酷な体験をくぐり抜けて「生き残ってしまった」のかがわかる設計。
不倫がテーマなわけであって、とは言え『マディソン群の橋』と比べると、まぁ許せる不倫。ただ、夫に何か酷いことをされたから別の人を愛するようになったわけではなく、単純に男からの言い寄りに折れたタイプだから、そこが女性目線から見るとどう映るのか。冒頭のシーンのおかげで、おそらくその女性はこの後亡くなってしまうという終着点はわかっているから、その後の展開が気になって仕方ない。
伏線回収用に描かれる現在パートも良い。ジュリエット・ビノシュの看護師役が、主人公に恋していないのがミソ。あそこでナイチンゲール症候群的な描写があったら、多分一瞬で冷めていたと思う。過去と現在の男女3人によるドロドロな三角関係には決してせず、あくまでそれぞれ別の恋人がいるってのが、うまくできているな〜と思えるポイント。
ざわさん

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