"何のためによそで暮らすんだ…"
一時代を確かに作った香港映画界の名匠七人が織りなす"香港"へのノスタルジー…
サモ・ハン、アン・ホイ、パトリック・タム、ユエン・ウーピン、ジョニー・トー、リンゴ・ラム、そしてツイ・ハーク…
ある一定の年代の映画ファンであるならば、この七人の監督達の名に聞き覚えがあり、その作品を一度は鑑賞したのではないでしょうか?
しかし、今の香港映画にはあの頃のような熱量を持った作品を見かけなくなったような気がします…
1950年代から未来までの"香港"を舞台にした七本の物語には、何の繋がりもなく、落ちがある訳でも劇的なドラマがある訳でもありません。
そこにあるのは、各監督が抱くあの頃の"香港"へのノスタルジーというところでしょうか?
特に、今作が遺作となってしまったリンゴ・ラム監督の"道に迷う"がこのオムニバス作品の核というか肝という感じがしてなりません。
猛烈な熱量を持っていた頃の香港映画を知る者として本作を鑑賞しますと、今の香港の立ち位置を考えると、色々と複雑な想いも交差して、画面から目が離せなくなってしまいました。
私的には、"道に迷う"とユエン・ユーピン監督の"回帰"そして、何だか恥ずかしくもなってしまう刹那系であるパトリック・タム監督の"別れの夜"が良かったです。
"別れの夜"のむず痒くなってくる程の刹那さと"甘さ"が…何とも言えない…この…何ですかね…とにかく、いいんですよ