ノラネコの呑んで観るシネマ

アンモナイトの目覚めのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
3.5
ケイト・ウィンスレット演じる、実在の古生物学者メアリー・アニングの物語。
1840年代、イングランドの海辺の街で化石店を経営していた彼女は、発掘の手ほどきをした学者の妻で、子どもを亡くしうつ病を患っていたシアーシャ・ローナンを、療養のため預かることに。
やがて二人は、人知れず愛し合うようになる。
「燃ゆる女の肖像」を思わせる作品で、二人の名優の演技はパワフルで目が離せない。
だが劇中でメアリーの元カノ(?)らしき女性が「彼女(シアーシャ)は貴女の何かを解き放った」というが、その「何か」がよく分からない。
そもそも恋とは曖昧なものなのかも知れないけど、親子ほど歳の違う二人が、お互いの何に惹かれあったのか。
特にシアーシャ側の内面変化は描写不足。
化石の持つ象徴性も、十分生かされているとは言い難い。
タイトルはアンモナイトだけど、印象的なのはイクチオサウルスだし。
あと実際のセクシュアリティが分からない実在の人物に、勝手に同性愛のフレームを被せてしまうって、倫理的に大いに疑問がある。
モデルにだけさせてもらって、あとはフィクションでも良かったんじゃないかなあ。
美しい映画だが、どこか消化不良だった。