「ゴッズ・オウン・カントリー」は一昨年にふと劇場で観た作品の中でも印象の強い一本だった。
そのフランシス・リー監督の新作にして、この二大キャスト。
これは逃すまいと今日は仕事を早く切り上げ愛用のスタンレーのポットにコーヒーをドリップしてレイトショーへ。
男の虚栄心に病んだ女を慈しむ。
それは石の中に眠る生を浮かび上がらせる作業に似ている。
ケイト・ウィンスレットの精悍な表情と屈強とも言える体躯からは力強さではなく脇を見ぬ意志を感じさせる。
骨が透けて見えそうな青白いシアーシャ・ローナンは閉じこもった殻を抜け出し、頬に赤みがさし表情が柔ぎだす。
二人の本分が徐々に顔を覗かせ始める。
一方は恐る恐る、一方は奔放に。
幼き時分に翼竜を掘り起こした女は、博物館に眠るそれを訪う。
感情に翻弄されず、やがて翼を広げ、戻るべき場所に舞い戻るのだろう。
劇を通して、静かに味わう心情と表情の機微。
美麗なエンドロールに酔いしれながら、スクリーンに足を運んでよかったと深く席に身を沈めた。
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ロンドンの喧騒とVFX
往時の意匠、服装
ルックも申し分無し
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今日の一曲
アンモナイトの歌 松岡茉優
https://m.youtube.com/watch?v=3EUrKIcA9Jc
2021劇場鑑賞9本目