Inagaquilala

アンモナイトの目覚めのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
3.9
この作品は、とにかくケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという女優の顔合わせに尽きるような気がする。どのような経緯があって、2人の共演が実現したのかは定かではないが、その女性どうしの愛を描いた物語を演じるには、この組み合わせは最高のものだったように思え。19世紀のイギリス、片田舎の海辺の町で、土産物として化石を売って暮らす中年女性をケイト・ウインスレット、ロンドンからやってきた上流階級に属する若い人妻をシアーシャ・ローナン。最初は、快く思っていなかった2人が、化石の発掘をきっかけに距離を縮めていく様子が、丁寧に描かれていく。

後半、中年女性の家庭環境に変化が起こり、ロンドンに戻っていた若い人妻と再会するシーンは、物語のクライマックスに近いが、監督のフランシス・リーは、意図的にその関係に結論を出していないように思えた。それは、多分、当時の社会のなかでの複雑な互いのバックグランドに配慮したことからのようにも思える。敢えて、愛はすべてを乗り越えるというような安易な描き方はしたくなかったのだろう。19世紀の物語として終わらせたくなかったのではないかとも思う。アメリカの女優さんというイメージが強いシアーシャ・ローナンだが、見事に19世紀のイギリス女性にもハマっていたのが印象的だった。
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