リラリオ

旅立つ息子へのリラリオのレビュー・感想・評価

旅立つ息子へ(2020年製作の映画)
3.6
元売れっ子グラフィックデザイナーアハロンは自閉スペクトラム症の息子ウリと田舎で幸せに暮らしていた。
しかし、別居中の妻タマラが息子の将来を心配し全寮制の支援施設の入所を決めてしまう。
愛する息子のためにグラフィックデザイナーのキャリアを捨て田舎に引っ越したアハロンには定収入がない。そのため養育不適合と判断され裁判所の決定に従うしかなかった。

入所の日⋯「行きたくねぇ!パパと一緒に暮らすっス!」嫌がるウリ、パニクり駅で暴れる→なだめるアハロン→施設で待つタマラに電話→「やっぱもう少し時間必要じゃね?」→「黙らっしゃい!早く連れてこい!裁判所命令だからな!」ヒステリック妻→電話切る→タマラから鬼電→無視⋯こうして父と息子の無謀な逃避行が始まる。

「とりあえずワンチャン見に行こうぜ!」仕事仲間だったエフィ(多分元カノ)を訪ねる→母親の葬儀中→気まずい⋯知らずに来てもうた→「あれ?誰に聞いたの?」→「⋯すまん⋯葬儀と知らずに来た⋯」→とりあえずこの日は、エフィ宅に泊まる⋯ウリが寝た後、エフィとムーディーになるが、そこはなんとか理性を保ち⋯我慢のアハロン。

翌日、プール付きモーテルに→プールで水着ギャルをピッタリマークするウリ→「⋯ちょいちょいウリ君⋯」ウリ君は成人男性⋯しゃーないな→ポータブルDVDプレイヤーの充電器壊れ、大好きなチャップリンの映画が観れず→ウリのためにパラパラ漫画を描くアハロン。

「この先、どうすんべぇ⋯」考える→「そうだ!アメリカに行こう!」→アハロンは、友人のピザ屋店主ノニに自分たちのパスポートを送って欲しいと電話→航空券手配→カード決済できねぇ→銀行へ→「口座凍結されてますね!」タマラ様の管理する口座。許可なしでは引き出せない→タマラ様に電話をする担当者→「やべぇ!」その場逃げ出す→そしてホテルからも逃げる。

夜行バスに乗り、向かった先は⋯あまり関係がよろしくない弟の元→早速タマラ様から連絡が!→「えっ、来てねぇよ」弟ナイス!→最近オークションで落札された自分の作品(トースターの絵。しかし手を加えられ超気に入らねぇ作品)が弟の家にあるのを発見、弟が落札していたことを知る→「ちと⋯金貸してくんねぇ?すぐ返すから⋯」→「なぜ険しい道を選ぶ?金はやるから冷静に考えてくれ!兄さんは全て捨てた⋯9万ドルの仕事もドブに捨てたんだ!」→「ウリには俺しかいねぇーだ!」→「違うね!自分の思い通りにならず逃げただけだ⋯」
アハロン「息子のためにキャリアを捨て田舎暮らしを選んだ!」弟「いやいや、例の作品のトースターの色を変えられてムカついて仕事辞めたんだろ!」兄弟喧嘩勃発中、「ぎゃぁぁ!」弟の妻の悲鳴⋯なんとシャワーを浴びる弟妻の裸を覗き、興奮し裸になったウリ。
弟は引き止めるが⋯出ていくアハロンとウリ。

もう頼る人もいねぇ⋯金もねぇ⋯海岸で野宿する。「おいっ!起きろ!」起こされるアハロン。「アイス代払え!」アイスを食べるウリとアイス売りのオッサン。「金ナイ⋯息子は何もワカッテナイ⋯」「金ねぇってか!」アイス売りはウリからアイスもぎ取り捨てる。「おい!ひでぇじゃねぇーか!」激おこアハロンはアイス売りをタコ殴り。おびえるウリ⋯こうしてアハロンは御用となり、2人の逃避行は終わりを告げる。

ネタバレ⚠️

田舎で一人暮らしをするアハロン、施設に入所するウリ。
ある日、施設でトラブル発生⋯ウリが暴れガラスを割り、スタッフ2人に怪我をさせる。呼び出されるアハロンとタマラ。なぜガラスを割ったのか原因がわからない施設。タマラ「ストレスかしら?」アハロン「チャップリンだ!」

チャップリンの映画「キッド」では、孤児の少年がガラスを割るとチャップリンがやって来る⋯ウリはガラスを割ればアハロンが来てくれると考えてガラスを割ったのでした。
「ウリの気持ちがわからない。だからどうするかあなたが決めて⋯」タマラはアハロンに任せることに。
アハロンは施設にウリを迎えに行く。「さあ、お家に帰ろう!」「ワークショップ終わってからね!」「そっか!今からワークショップか!それ終わったら帰ろう!」「夕食食べたらね!」「⋯お前の好きな星型のパスタ茹でたよ⋯」「ここに持ってきて!」「⋯」あれだけ嫌がった施設入所。ウリは友達もでき、満喫ライフを送っていた。「ここで暮らしなさい⋯。」

施設に入り成長した息子とその息子の成長に気付く父⋯こうして父はやっと子離れし、息子は父から巣立っていきました。

息子のためと言いつつ、実は子離れできない父親。キャリア捨てなきゃダメだったんか?弟のいうようにただの現実逃避行じゃね?って感じ。最後は無事、息子から卒業できて良かったっス!
とにかく、アイスタダ食いされ、ぶん殴られたアイス売りのオヤジが、1番可哀想でした。
お涙頂戴の親子愛ってより、思い込みが激しい親父が、最後やっと自分の間違いに気付くって感じの映画でした。
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