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ラヴ・アフェアズのnyakoのレビュー・感想・評価

ラヴ・アフェアズ(2020年製作の映画)
4.0
ピアノ曲が心地よく、描かれる町の風景が美しく癒されます。
2020年カイエ・デュ・シネマ誌ベストテン第5位の話題作

青年マクシムが訪れた田舎町。
彼を出迎えてくれたのは、いとこであるフランソワの妻で妊娠3ヶ月のダフネだった。
いとこが戻るまで妻ダフネが田舎を案内する事に。
二人は互いに過去の恋愛話を語りあっていくのだが、次第に二人の距離は近づいてゆく

エリック・ロメールの後継者なんて看板がつくのもわかる!
恋愛を軽妙なテンポで描くのがほんとうまい。
とにかく過去話に出てくる登場人物みんな、取っ替え引っ替えな恋愛すぎて!
愛情というよりも自らの欲望に忠実に行動。
結婚してても妊娠してても関係ない、みながその欲望に振り回されている様が面白おかしく、また軽妙な会話メインのラブコメムードも楽しかったんだけど、気が付けば後半からは前半の裏側を描いたようなシリアスな展開へ

不倫したにも関わらず、揉めることなく再婚したダフネ。前妻も新しい恋人と幸せそう。
ダフネは円満に恋愛を達成出来たと思っていたが…その実はって真実が後で明らかになる。
そして気が付くと完璧手中に収めたはずの愛も危うくなっている。
100パーな幸福な恋愛、100パー確実な気持ちなんてありえず、誰しも何か足りない、何か不安な気持ちを持たずにはいられないのではないかと思えてくる

恋愛に振り回される人たちの中で、無性の愛を選んだある登場人物が1番晴れやかな表情をしていた。
彼女が観ていた映画の中の哲学者のセリフ。
ー 人間が愛と思う感情は愛ではないことが多い
ー 人間は所有欲と嫉妬を愛の証拠と考えるが復讐や殺人は愛とは無関係だ
ー 真の愛は他者の幸運だけを求め所有を求めないし、何も所有しない
…って嘘でしょ⁉︎
そこまで達観できればきっと楽になれるんでしょうね
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