「血中濃度0.05%のアルコールが仕事の生産性を高める」なんて耳に心地よい学説に誘われて、どんどん酒に溺れていく男たち。たとえ酒を呑まない人でも、誰しも何かにすがってしまう同じような弱さを抱えており、どこか身に詰まされるのではなかろうか。
中高年と呼ばれる年齢を迎え、体も心もどこかしゃっきりせず、仕事もプライベートもうまくいかない。そんな経験がある人は多い。私もその一人で、冒頭のマッツ・ミケルセン演じる主人公の様子に、はっとさせられた。何か特別なことをしているわけではないのに、「ああこの人、どこか調子が悪そうだな」と思わせる演技に感嘆させられた。
喜劇でありながら、人間臭く切ない。酒に溺れていく恐ろしさだけではなく、なんとか再帰を図ろうとする葛藤も描かれており励まされる。
そしてやっぱりマッツ・ミケルセンが魅力的。ラストのダンスシーンは本当にときめいた。あのシーンを脳内再生するだけで、グラスワイン一杯分くらいの効果がありそう。
この監督、脚本、主演の組み合わせは、私にとってはやはり鉄板!マッツ好きな人はぜひ観てください!