波乱万丈の生涯を送ったスペイン人画家ジュゼップ・バルトリ Josep Bartolí の実話を、彼のスケッチも織り交ぜながらアニメーション化された作品。
フランスの全国紙ル・モンドなどで活躍してきたイラストレーター オーレル Aurelの長編監督デビュー作。
1939年 フランコ独裁のスペイン内戦から逃れ、フランスの難民収容所に送り込まれた画家ジュゼップ・バルトリ。
寒さ、飢え、病魔に苦しめられる劣悪な環境下で、収容所の憲兵たちはまるで囚人か動物のごとく難民たちを暴力や嫌がらせで支配するという、想像を絶する過酷な難民生活だった。
憲兵たちは、いつも絵を描いているジュゼップが、地面に絵を描いていると、その前に立ち、絵に小便をかけて高笑いしたり、パンの配給では雨の中、わざとぬかるんだ地面に落ちるように投げ配ったりと、悪行の極み。
そんな状況でも絵を描き続けるジュゼップに、心優しき新人のフランス人憲兵セルジュは、こっそりと鉛筆と紙を渡す。
やがて二人の間には固い友情が芽生えていく。。
リンチによる友人の死など辛い状況に加え、盛り上がる酒場や、二人の女性との交流など微笑ましい場面も。
収容所からの脱走を繰り返したのち、1942年にメキシコへ亡命。メキシコの画家フリーダ・カーロの愛人となった時期以降は、一転、タッチの違うヴィヴィッドな色彩の絵を描くようになるジュゼップ。
老人となったセルジュが孫にジュゼップの1枚のスケッチを渡してからのラストもいい余韻。
アニメーションの動きは抑えめで、収容所時代の過酷な世界が描かれたジュゼップの木炭や鉛筆のスケッチの実物なども融合した、絵本をめくるようにジュゼップの人生を知る感覚の作品でした。