ドキュメンタリーの可能性を拡げた大傑作。
観客としても、監督に対する信頼感が絶大で…。
こうして絶対に誰にも言えない、共有し得ない経験を語り継いでくれる人がいることの希望を思えるのは、言葉ではとても言い表せられない絶望なくして成り立たないんだな…と、途方もない気持ちになるけど。
個人の物語を聞くところから世界を見る、知る。
その積み重ねでしか気づけないことが沢山ある。
アミンが音楽を聴くことをやめなかったのが印象的だった。アミンの好きな音楽がわかる。近くに感じたりもする。
幼い頃から自分がゲイであると自認していた彼は、心の中ではずっと自分を守ってきたその強さに純粋に感動した。
どれだけ傷ついただろう。怖かっただろう。淡々とした語り口に、言葉にならない思いがたくさん詰まっていることを感じ取れた。
アミンのように難民として生きた人はもちろん、難民にもなれなかった人々にも思いを馳せずにはいられない。
生まれた場所が、時代が違うだけで、人生を奪われる人々が今も世界中で戦っている。
日本で私がまずできることは、入管問題を知ること。
日本で共に暮らす難民の人々がどれだけいるのか知ること。
まだ知ることしかできない、知ることから始めるしかできない。それでも、変えたいと思う人間が一人でも増えることが重要なんじゃないかと自分に言い聞かせる。
