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スパイの妻の821のレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.0
鬼滅に押されて公開早々上映回数少なくなりつつありますが…観てきました。本当、お見事です!!面白かったです。

予告やスチルを見た時点で、本作のこと絶対にめっちゃ好きやと思ってたんです。(実際は昭和だけど)この所謂「大正ロマン」っぽい感じ。洋装と和装。ロマンチックな感じのワンピース。仕立てのいいスーツ。洋館。車。時代の美術が大好物なんです。なので終始惚れ惚れしながら見てました。
あと、予告の時点で分かっていたのは撮影構図の美しさ。和装の蒼井優と軍服の東出昌大が映ってるシーンがよく取り上げられていましたが、その1枚絵としての美しさよ…(そして蒼井優の着物が素敵すぎる)。という訳で、美術の時点で眼福映画でした。

鑑賞後は、やっぱり主演3名の演技に圧倒されました。蒼井優は喋り方、声の出し方からあの時代の良家の妻って感じだし(※イメージ)、東出昌大はもうサイコパス入ってる目つきがね…。目が全く笑ってないんですよね。冒頭のにこやかな挨拶のシーンでさえ、福原さんの事を後ろから見下ろすシーンの目が怖すぎて戦慄しました。東出さんめちゃくちゃハマってました。高橋一生も、ネタバレになるのであまり具体的な点は述べられませんが、薄暗さある感じが良かったです。
演出が全体的に舞台っぽいドラマチックな感じで、台詞回しとかセットとか随所随所NHKを感じることもましたが、作品全体の統一感があって意外としっくりきました。

ストーリーも面白かったです。手に汗握るサスペンスで大変見応えがありました。福原家で、緊迫感のあるシーンではずっと振り子時計の音がしていて、めちゃくちゃ印象に残っています。緊張感を割増にするスパイス。ワンカットワンカットの写し方、演者の立ち位置、画面構成に人物関係が上手い具合に現れていた。とても象徴的がゆえに、脳裏に焼きついてる印象的なシーンがすごく多いですね。

強いて言えば、ラストが戦争末期にも関わらず全体的にキレイすぎる写し方だったのと、急にリアリティが無くなって物足りなさを感じたのと、あとこれは完全に自分の問題なんですけど、照明が柔らかいシーンや暗いシーンで映像の輪郭を全く掴めなかったのが気になりました。見えない!みたいな。視力落ちたかな…。

なにぶん好きな時代なので、大変満足度の高い鑑賞でした。面白かったです。
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