こたつむり

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
♪ ハッピーエンドじゃなくても
  僕はこれからも歩いていくのさ
  宇宙を超えてどこにいこう

マルチバース。
それは何でもアリな世界。多次元に拡がる可能性は誰にも否定できません。自分自身を否定することと同じだからです。

しかし、何でもアリは何にもナイと同じ。
物語を紡ぐには大きすぎるのです。この辺りが理由で苦戦しているのが最近のマーベル。マルチバースという大風呂敷と、新しいヒーロー譚を同時進行させた所為で、観客の戸惑う声が増えていますよね。

思うに、自由って大きすぎるんですよ。
契約とか法律とかルールとか。人間は何かに縛られていないと安心できないんです。オマージュが喜ばれるのも同じ理由だと思います。視点を変えたら、ただのパク…もごもご。

何はともあれ。
マルチバースを扱うには十分な準備が必要。本作はそれを怠りませんでした。前作で小規模な形を提示して、本作でググっと拡げる…その流れはとても真っ当。正しい手段なのです。

だけど“ややこしさ”は当社比無限大。
普段は使わない脳内回路を酷使するから疲れるんですよ。糖分を補給しないとヤヴァイです。それでも面白いんですけどね。

あと、今回は色々なスパイダーマンが登場。
「なるほど」と頷けるものから「え」と驚くものまで存在するんですが、幅が広すぎて把握するのが大変です。それでも面白いんですけどね。

また、世界観の拡大も想像以上。
壮大すぎるから本作だけで収まっていません。個人的に、映画は単独で成立させるのが基本…だと思っているし、タイトルに「前編」と入れないのはフェアじゃない気がします。それでも面白いんですけどね。

まあ、そんなわけで。
色々と疲れちゃうけど、それでも面白いスタイリッシュな『スパイダーマン』第2章。音楽の使い方が巧みなので盛り上がるのは確実です。できることなら次作公開直前に観た方が消化不良にならないかも。

ちなみに全米公開は2024年3月29日予定。
日本はいつになるのでしょうかね。
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