HomareKarusawa

カラミティのHomareKarusawaのレビュー・感想・評価

カラミティ(2020年製作の映画)
4.0
あらすじ。マーサは聡明で気丈な娘。負傷した父の代わりに男の領分とされた仕事を上手くこなすが、女の仕事には興味がない。女らしい格好をしないことから仲間や家族から疎まれ、同調圧力に苦しんでいた。あるとき盗みに加担したという嫌疑をかけられる。疑いを晴らすために盗んだ犯人を追って出奔する。波乱万丈の冒険を経て、女傑として帰ってくる。

髪を手櫛で漉くしぐさに込められた寓意。
泥まみれで通らない指、ままならない肉体。
泥まみれの髪に黄金が埋もれている。
汚れを落としてあなた自身に気付いて。あなたは素のままで強くて綺麗。

主人公が一度死んで英雄に生まれ変わる類型のシーン。
坑道の暗闇に閉じ込められるが、どうやってか戻ってきて、風呂で汚れた身体を洗い清める。
女らしくとか男らしくとかの規範から自由になれ、ときには女であることを利用せよ。そうすれば男は怖気付くだろう。堂々と生きよ」
それがマーサの成長だが、僕にはちょっと、そのメッセージは刺さらなかった。

男たちへの視線が酷薄。
金を探して泥をすすぐジョナスが小さく見える。稼げなそうだし、家族を捨てた男である。見切りを付けた気がする。別れのキスは「私のようなイイ女のことを後生誇りに思いなさい」
ラストのイーサンの笑いが気持ち悪かった。謝罪して緊張が解けたからか、自嘲なのか。

自己の中にこそ黄金があると気付くのはいい。苦しみの渦中にいる人を勇気づけるから。
しかしそれだけで勝ち上がったら傲慢になる。ダメな奴の尻を叩いて共に闘う仲間にしてゆくヒーロー像が見たかった。

画面の色彩は苦手に感じた。太古のwindows 95のデスクトップ256色モードでの意に沿わぬ色変換の思い出が脳裏にちらつくという個人的な理由のため。
『ロング・ウェイ・ノース』の色は好きなので、その差は微妙。

悪いところを多く書いた気もするが、観ている間も、考察しながら感想を書くのも楽しかった。
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