HomareKarusawa

すずめの戸締まりのHomareKarusawaのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
5.0
子供椅子に感情移入しました!
エモーションが激しく動いたのは、お尻や足が椅子である私と接触するところと、靴を失くして痛そうでこっちまで辛くなるところ。

欠落を抱えた子供椅子になって好きな女子に受容されたい。座られたい。踏まれたい。
足が2本あれば疾走できる。3本あれば役に立てる(勃てる)

中盤で椅子である私が退場してしまい、途方に暮れたところで出てくる芹澤くん、いいですね。
好きな車飛ばして不健康なタバコ吸って懐メロでダサおもしろ選曲するちょいワルっぽいオジサン青年。いいなあ自由にやりたいなあ。現実では嫌われそうでやれない。

鈴芽さんの何かに突き動かされるような行動原理はよく分かりませんが、人間は、たとえ空っぽになっても、がむしゃらにポジティブに生きられるってことかもなあと思いました。

全体的には、高いレベルで技巧の証明をやっています。
危ないことと怒られそうなことを次々繰り出すクリフハンガー。モラルを揺さぶる技巧がいちばん現代の大衆の心を動かす。
主人公が自分のトラウマを自分で乗り越える物語の王道をやってみせる。

日本の創作を引っ張って行くぞ、みんなもついてこいという意気込みが妄想できて頼もしくなります。

とても楽しんだし御祝儀もかねて★5!
HomareKarusawa

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