HomareKarusawa

aftersun/アフターサンのHomareKarusawaのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.0
父(カラム)は離婚により別れた11歳の娘と束の間の旅行をする。父娘水入らずの最後の旅かもしれない。最高の旅となることを期待して興奮で夜も眠れない。良き父であろうとするも、娘を退屈させ、未熟な自意識が露呈する。
一方、娘(ソフィ)は大人たちの狭間で疎外感を感じつつ独自に成長してゆく。
ビデオに残った11歳のソフィのまばゆい笑顔は、幸福の象徴の黄色い差し色とともにかけがえのない思い出だ。

父はまだ若いつもり。自分の老いた姿は想像できない。何か憂鬱そうで、自殺しそうな不穏な雰囲気を漂わせている。
素潜りで溺れた? 入水自殺した?とミスリードする演出が天丼する。

ソフィがカラオケでデュエットしようと父の好きな歌をリクエストするが、父は頑なに拒む。ソフィは一人で下手ながら頑張って歌い切る。父は居たたまれなくなりソフィを残して部屋へ帰るが気持ちはおさまらず、深夜徘徊に繰り出したあげく、海へ消える。
死んだかなと思ったら、全裸でベッドに突っ伏して寝ている。ソフィが帰ってきて、丸出しの尻にシーツを掛けられる。笑い。

R.E.MのLosing My Religionは片思いの歌だ。父の好きな歌だが、娘と一緒に歌いたい歌ではない。
父は父で、他者には見せない繊細な秘密がある。
父が父親の役割のために娘には見せなかった心情を娘が想像した映画なんだ。

20年後のソフィーは同性のパートナーとベビーがいる。父は普通に中年を経て初老に差し掛かるんだろう。
人生色々だけど、関係が続いているんだろう。ソフィを愛しているのは今も変わらない
HomareKarusawa

HomareKarusawa