<概説>
政府の隠匿する少年兵部隊S.O.R.Dの面々は、フィリピン島で修学旅行ーー実地演習をすることに。しかし目的地に到着すると同時に、本物の敗残兵回収の密命が舞い込んできて…
<感想>
なんというか、ここかららしくなってきました。
他の媒体と公平に評価するならば、名作と言われる成人ビジュアルノベルは大抵喪失の物語によって評価されています。
本作の前身となる『果実』『迷宮』『楽園』
これは言わずもがな日下部麻子や風見一姫の死体の上に成立している。友をなくし。家族をなくし。そして居場所をなくした。
その死体に絶望するか。絶望した後歩きだすか選べと。
そんな破壊と再生の物語。
他の同種ゲームならばどうか。
『車輪の国』は喪ったものを喪わぬために、
『装甲悪鬼村正』は喪ったものを終わらせるために、
『G線上の魔王』は喪ったものを振り返らぬために、
喪失は登場人物達を既に捉えていて、そこから逃れようともがいている。喪失に捕らえられぬ為にもがくものが多い他媒体とは、そのあたりなかなかに異様。
ですからわかりやすく喪われたものを提示してきた本作こそ、なによりのビジュアルノベル作品の延長に感じられました。OPムービーもその名残が残ってますしね。