TAK44マグナム

プロジェクト・パワーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

プロジェクト・パワー(2020年製作の映画)
3.5
短評です。


5分間だけ各人専用のスーパーパワーを発揮できるドーピング・ピルを巡って、元軍人と警官、そして売人の少女が秘密組織に挑むネットフリックスのオリジナル作品。
キチンとまとまっているし悪くはないけれど、強烈な個性やオリジナリティには欠けるかな。
特に各能力が既存アイデアからまるで脱却できていないし、割と地味。
火炎人間やジェイミー・フォックスの能力は派手といえば派手ですが、既視感もありました。
あとは透明化やトゲトゲだけど、X-MENやらワンピースが既にありますからね。
そういえば、火炎人間を演じたマシン・ガン・ケリーがミーガン・フォックスと付き合っているというニュースがあったけれど、その後の進展は・・・どうでも良いか(苦笑)

ジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じる警官キャラクターは◎。
飄々としているけれど、誰よりも街の安全を願う正義漢という役どころ。
このキャラクターのおかげで物語がうまく回っている感じがしました。 
ジェイミー・フォックスもこういった強い男性像が上手。安定感がありますね。

薬に頼らず、自分の中に眠るパワーで人生を切り開いてゆけっていうメッセージは非常にわかりやすいし、薬に頼ってしまう人の弱さも描いているけれど、結局は主人公たちも頼ってはしまうわけで、そこをもう少し捻って欲しかったという思いは残りました。
それとも、ジェイミー・フォックスが最後の最後までパワーに頼ろうとしないことで人の強さも同時に描いていたのかな?

最後に娯楽作品としての評価ですが、これは個人的には微妙・・・ですかね。
巷には特殊能力モノの作品が映画やドラマ、コミックと、至る分野であふれかえっているじゃないですか。
そこに新しく参入しようとなれば、どうしても既存作品と比べられてしまうわけで、そうなると何となく華がない本作のバトルは少々ツラい。
窮地を切り抜けてゆく(本当は違うけれど)最大戦力であるジョセフ・ゴードン=レヴィットの能力が「銃弾もはじく硬い皮膚」というのはバトルにおいて受け身になりがち。
だったらいっそのことパワーに頼らないで「機転を効かせて勝つ」みたいなスタイルにしたほうがテーマに沿っていて良かったような気もします。
でも、そうすると余計にバトルが地味になってしまうのか・・・(汗)
構成上仕方ないのですが、素のジェイミー・フォックスが少し強すぎなのかと。
あれだと敵が矮小に見えてしまいます。
娘ちゃんも「AKIRA」の鉄雄みたいになってしまうのかと思ったらそんな事はなく、やや拍子抜けでした。


同ジャンルの他作品と比べて傑出した作品というわけではありませんが、下手するととっちらかりそうな話を巧みにまとめているのは良いです。
VODのオリジナル作品としてはかなり豪華なのは間違いなく(ネットフリックスの資金力は侮れませんね)、こういう「日常のすぐ近くで進行するSFバトル」のムードが好物ならオススメさせて頂きます!


NETFLIXにて