なっちゃん

ノマドランドのなっちゃんのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.6
好き系だった。

貧困オンリーの話かと思いきやそうではなく、貧困もあるけど、マインドと社会の話でした。

ノマドの民は日本のホームレスの多くとはまた違い、貧困で追い詰められて行き場がなくなった雰囲気ではなく、ほとんどのノマドは家族がいたり(物理的に)帰るところがあったりする。一応共助セーフティネットにはひっかかりそう。これがまずひとつ意外だった。
もちろん裕福ではないけど、あくまでも人生の選択としてノマドをしている。
また、高齢者が多いのも意外な特徴。アメリカの戦後ベビーブームの結果、この年代が今1番多く、加えてアメリカは日本より人材カットに容赦ない分、経済から締め出されやすいんだろうな

そしてこれも意外なことに、ノマドには黒人が少ない。劇中で「白人であることは特権」という会話があったが、よく考えるとそもそも黒人がノマドになって車中生活していたら即警察に取り調べられるのか…
ノマドになるという選択肢すら与えられない行き場のない黒人を思うとやるせない。

ノマドの民、日本のホームレスみたいに追い詰められるというより、もう広大すぎてどこに居たらいいか居場所がわからなくなってしまったように見えた。
いろんなことがあって傷ついた結果、大事な何かにさよならを言うのが怖くなる。じゃあさよならを言わなくていい生き方をしよう!というある意味逃げとも言える生き方。でも傷ついた本人に逃げるななんて誰にも言う資格ないけど。その人の人生やしな。まあでもアメリカでこのマインドの人間が増えてるというのは意義深い。家父長的で権威主義、経済合理主義でここまで加速してきたアメリカの綻び。Amazonが出てくるのもリアルだよな〜、てかAmazonよくOKしたな(笑)

こうやって考えると社会保障って大事で、適者生存の人類生存戦略下と考えると、遺伝子多様性のためにも、いま現在「弱者」とされてる人を援助することが必要なんだよな

そしてフランシス・マクドーマンドいつもかっこいい。
なっちゃん

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