このレビューはネタバレを含みます
映画だなーー。
吸い込んだ空気で肺が冷たくなる感じとかがスクリーンごしに共有されるような。
ホームレスじゃなく、ハウスレス。
一般的な形の「家」をもたないだけで、わたしの人生や思い出、過去と今とこれから、信念がつまった家はここ、って主人公の譲れないプライドみたいなものがみえる言葉が印象的だった。
はたから見たら、窮屈で不自由な車中生活も、主人公にとっては他のノマドたちとの限定的な時間や交流含め、自由で自分でいられる生き方なんだろう。
さよならのない、またいつかどこかで、な世界。
1人で生きていくことの自由さと寂しさ。
おじいさんの農場にとどまることもできたけど、それをしなかった主人公。
季節労働者としてノマドをする、農場で家族の一員として暮らす、どちらの選択もできたはずだけど、後者を選ばなかった。
あれはやっぱり、主人公にとってのハウスとホームの違いなんだろうな。
人間ってつくづく不思議な生き物だなと思う。
お姉さんの、あなたは人より勇敢で正直なだけって言葉も素敵だったな。
出演者のほとんどが本物のノマドって、信じられない。
形は違えどノマドで2年間暮らし、コロナで定住を余儀なくされた身としては、家や人生がなんなのか改めて考えさせられる映画だった。人生=旅よな。