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ノマドランドのsokbuのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.1
リーマンショック後、住む家、夫を失ったファーンは古いキャンピングカーに思い出を詰め込んで、ノマド(遊牧民)として終わらない旅に出る。期間限定の仕事、同じようにキャンピングカーで暮らすノマド達との交流、仕事の期限と共に「さよなら」じゃなく「また会おう」と挨拶をして別れていく。安定しないで、低空飛行を続ける生活、兄妹から一緒に暮らそうと言われても拒んでこの着地しない旅を続ける。広大な大自然の中で、雪、雨、薄曇りというグレーの世界が、シンプルなピアノの音色と共に彼女の心を表現している。そしてラストで思い出の家を訪れて、再び旅を続ける。

家、仕事というものはアイデンティティに関わるものなんだろうなあ。時間が止まった状態から新たな旅立ちとなるのか、あのラストで主人公は何かが変わったのか。映画の中で本当のノマドが実名で登場する。ドキュメンタリーのように観ることもできる。だからあえて、結末を作らず、主人公の今の状態を見せているんだろうと思った。もう一度観たらまた気づくことも多いんだろうな。映像も素晴らしい。
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