この映画を見てまず思ったこと。実を言うと、「アカデミー作品賞には相応しくないのではないか」という印象を持った。なぜかというと、あれはどちらかというとドラマとして一般大衆に受けそうな平穏で面白い作品が主流という感じがして、本作品はどちらかというと昔のFOXムービーとかが好みそうな、ウイットの効いたクセのある映画という印象だったからだが、案外そういう作品は印象的なものが多い。さて、タイトルのノマドとは、車中で寝泊まりをして、旅をしながら生きていく人たちの事です。本編、新感覚というか、別の次元に入ったようなロードムービーで楽しかった。実はアメリカの現状を憂うような社会的要素も多分に含まれているのが楽しい。そして問題は、家で過ごせるチャンスは何度かあったにもかかわらずなぜこのような生活を選んだのかというテーマですね。終盤にヒントもあります。いろいろ考えさせられて、しかも雄大な景色をふんだんに見せていただき、都会の生活で疲れている人もしくはマンネリになっている人は一度は観ていただきたい映画ですね。なお作中の「ウォールドラッグ」というのはアメリカにある世界で最大のドラッグストアのことです。
そして主人公のフランシス・マクドーマンドですが、もうこの人のいい意味でのワンマンショーというか、心地良い演技を堪能できます。オスカー３回か、凄いなぁ。
