ロビン

アイダよ、何処へ?のロビンのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
3.5
1992年に始まった「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」は宗教も絡んだ複雑な歴史的悲劇と言われている。
本作は1995年7月紛争中立地帯のスレプレニツァで起こった、セルビア人勢力によるムスリム人地域住民の大量虐殺(ジェノサイド)を描いた作品であり、国連保護軍の通訳として働くアイダの目線で物語は進行する。

とにかくアイダの行為が身勝手に感じてしまい、作品にハマりきれなかった(国連の仕事をしてるから自分の家族は優遇されるべきだと思っている)。。
アイダの家族をなんとかして守ろうとする気持ちは分からないでもないし、あの状況なら必死に守ろうとするだろう。
母親であり妻なのだから。
それくらい酷い状況だと強調したいのかもしれないが、逆にそれがイライラするぐらい身勝手で自己中で自分の家族さえ助かれば良いという行為に思えてハマれなく、途中から全く同情できなくなってしまう。。
こんな風に感じるのは薄情なのかもしれないけれど。。

そして、国連などという組織がクソの役にも立たないことを鮮明に描写している。
そもそも国連の常任理事国ってなに?
第二次世界大戦の戦勝国でしょ。
なので、国連なんて第二次世界大戦の遺物でしかない。
解体して再構築するべき組織。
しかしながら、大国が小国から票を買収して組織動かすだけのことなんで何も変わらないだろうけど。。

ナチスによるユダヤ人虐殺以前からこういう虐殺行為をしてきた人類。
残虐な歴史や悲劇が今も世界中で繰り返されている。
たぶん人間の本質は変わらないから、人類が滅亡するまで繰り返され続けるんでしょうね。。。

【ネタバレ】
  ↓





作品では国連の施設から移送先の建物の中で、アイダの家族を含む村人たちが一斉射撃で殺戮されるシーン(直接的な描写は避けているけれど)があり、ジェノサイドの実態を突きつける。
アイダの自己中な行動に苛ついたとはいえ、ラスト発掘された白骨死体を前にアイダが泣き崩れる姿には息が詰まる。。
ロビン

ロビン