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アイダよ、何処へ?のmityのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
4.0
1995年に起きた集団虐殺「スレブレニツァ・ジェノサイド」を描いた本作。わずか26年前にこんな事が起こっていたことに驚いた・・・。

国連保護軍の通訳として働くアイダ。家族の為に、とにかく国連保護区内を走り回るアイダの姿がとても印象的だった。でも、家族を守りたいとアイダが必死になればなるほど、ただただ何も出来ない無力さだけが浮き彫りになるようで、空しさが込み上げてきてしょうがなかった。

アイダはでも、自分に出来ることを懸命に、最後まで懸命に行い闘ったと思う。その必死さに国連は応えなかった。何もしなかったわけじゃない。でも、結局組織にとっては、いつだって現場ではなく会議室で事件は起こっているのだと、思えてならなかった。

元教師のアイダの目の前に、敵となって現れる教え子。民族の違いは、簡単に人を被害者と加害者に分け隔ててしまう。それが民族紛争、それが戦争・・・。子どもに何を教えたら良いのか・・・アイダが失ったものがあまりに大きすぎて、私もまた無力なのだと思った。


#103_2021
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