カオリ

メトロポリス 完全復元版のカオリのレビュー・感想・評価

メトロポリス 完全復元版(1926年製作の映画)
4.6
完全復元版ではないものも観ておらず初見。
SF映画の原点といわれていますが、点というよりも型。
近未来の2階層構造という設定は、いまだにベタな設定としてよく使われますが、そのベターの原型のようです。

ヒロインのマリアを聖母とマグダラのように対極化させていたり、対比表現としての構図をとっていたり、冒頭とクライマックスの対比など、あらゆる表現手法が惜しみなく使われています。

無声映画だからこそのパワフルな演出には没入感があり、カメラワークや構図も美しく。光量やエフェクト、ロボットの質感などは当然CGなしでこの質か!と、ビックリしっぱなしでした。
色々と工夫して撮られたのでしょうが、センスと発想と挑戦のたまものですね。あとお金すんごいかかっていますね。撮影風景も見ましたが物凄い熱量です。

映画にとどまらず色んな作品に影響を及ぼしているのか、「あの作品の、あそこの元ネタっぽいなぁ」というシーンが沢山でてきます。

なんといっても、どんな世であっても教訓たりうる普遍的なテーマが素晴らしく、ラストは普通に感動しました。これが名作たる所以なのですね。
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