あんびー

ウィッカーマン final cutのあんびーのネタバレレビュー・内容・結末

ウィッカーマン final cut(2013年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ぶっ飛びすぎ...
これが40年以上前の作品だなんて信じられない、。

島の自然の色鮮やかな美しさと穏やかな島民達の暮らしの裏に潜む異常な自然崇拝の狂気が次第に露わになっていく様子が本当に不気味で、ストーリーはシンプルだから淡々とした恐怖がダイレクトに伝わってくる。ミュージカルばりに歌が登場するけど、曲調は穏やかで心地良いのに歌詞がど下ネタばかりだからすごく気持ちが悪い。

根底にあるのはキリスト教と自然崇拝の対立がテーマで、不作だった島に降り立ち繁栄させたサマーアイル卿の一族は島民にとっての救世主であり絶対的に従うべきものであり、ここに宗教観に支配された人やコミュニティの脆さへの皮肉を感じる。主人公は最後まで純潔を守り切って生贄に捧げられても屈服せず祈り続けていたのはある意味一番強い精神の持ち主なのかもしれないし、それを取り囲みながら歌う島民は狂ってるけど島民からすれば主人公は狂っているようにしか見えないと思うと恐ろしい。

「ミッドサマー」が今作のプロットをそのまま使っていることははっきり分かるけど、あちらはホラーに振り切って視覚に訴える不気味さがメイン。こっちはある意味歌が恐怖の要素になっているのと、淡々と静かに狂っている怖さがある。こういう奇祭や土着信仰とかって好奇心を刺激されて自分も含めみんな結構好きなんだなって気付いた。
あんびー

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