ジェイD

ザ・フラッシュのジェイDのレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.5
バックトゥザフューチャーとバタフライエフェクトのアメコミ仕立て!エゲツない完成度の高さ、単作としての満足感、タイムリープ物の面白さと危うさを存分に織り込んだ爽快アクション⚡️

ジャスティス・リーグの一員として街の人々を救う超光速ヒーロー・フラッシュことバリーアレン。その能力で過去を遡る術を見つけた彼は死んだ母を救うためタイムリープを試みるも、その影響は宇宙の形を変えるほどに大きかった。新たな世界で出会ったヒーローと時空を超えた戦いに身を投じる…。

全編通して楽しくワクワクする展開が続く秀作でした。マルチバースだけど予習いらずの単作として観やすいし、画面いっぱいにナンダコレが満ち溢れるスローモーションバトルや空想科学とヒロイズムに満ちたストーリーがノンストップで来るから大満足。

特に独特な雑CGによる奇妙な世界観すき。序盤の光速人助けシーンでの大量の赤ちゃんが命の危機にある時も、CGらしさを出してわざとリアリティを落とすことで倫理的なモヤっとを感じさせないから割り切れる。笑い事じゃないシリアス展開をライトに描くのは結構難しいはずだけどそれが序盤から来たからワロタ。

マルチバースという単語が出てくるから身構えるかもしれないが、正確にはタイムリープ物。過去に戻って運命を変えるということがどれほど大きな影響を及ぼし、そして代償を払うかを知り、その強大さに対して「諦めずに立ち向かう」べきか「後悔に折り合いをつける」べきかを選ぶ物語だった。

その先にある終盤の締めくくりが本当に感動的かつ甘やかさない最適解だった。微ネタバレくらいで言うなれば「シュタインズ・ゲート」っぽくなったから「おばあちゃんの思い出」したんだけど、なぜか「ロキ/シーズン1最終話」みたいになっちゃった的な。

落とし前はしっかりつけたけど自分のやらかしが大きすぎた故にすべては元通りに出来なかったという何とも言えない後味。ギャグなのか真面目なのかも分かりにくいラストカットに笑ってしまった。とはいえ僕自身は最後の方で嗚咽するほど泣いてしまったのも事実なので感情面での振り回しは強かったといえる。

もう一つ話すならキャラの魅力が!!最高!!一人二役で違う人生を辿った2人のバリーを演じ分けたエズラ・ミラーはなんかもう色々上手すぎる。違和感無いのが何よりの違和感だし、明るく優しいのに挙動不審で絶妙に不安定なのが役者の魅力そのまま出てる(めっちゃ褒めてる、だからこそしっかり休んでください)。
そしてバットマンの姿。ベンアフバッツが過去一で無骨にカッコよかったし、キートンバッツが"帰ってきてから"はその隠しきれない変な人感とヒロイックさに震えるばかり。『戻してくれた』の意味が深すぎる。
あとスーパーガールはもっと見せてくれるんですよね?!あんなに正義と美を体現できる役者さんそうそういないよ?!

これにてDCユニバースはリニューアル。もう今までがやり直しやり直しでグチャグチャだったので、完璧に元通りはできないでしょうが今度こそ地に足付けてゆっくりユニバースを醸成してください。

え、そういう皮肉なの?
ジェイD

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