このレビューはネタバレを含みます
子どもを育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていく赤ちゃんポストを介して出会った人々が、赤ちゃんの里親を探す旅をする。
里親を探すと言ってもやろうとしていることは人身売買で恐ろしいんだけど、
終始静かで優しくて、ちゃんと赤ちゃんの幸せを考えていて、ドンスが不妊治療の話で里親にカマをかけたりする場面は良かった。
赤ちゃんを抱いてあやすサンヒョンはお父さんみたいだし。
IUは美少女というイメージのある女優だけど、家出をして売春をして生きるうちシングルマザーになり、映画の中では赤ちゃんの容姿にケチをつける客に激昂したりするのは迫力があった。切実で真剣で、ギリギリのところで生きる母親を見事に演じきっていた。
「子どもを産む前に殺せば、生まれてから捨てるより罪が軽いの?」
と問うソヨン。
そんな彼女が
「生まれてくれてありがとう。」とひとりひとりに言うシーンは泣ける。
本当は誰もがそんな祝福をうけて生まれてきた。
観覧車のシーン、
ソヨンの目をドンスの手で隠しながら話すところ。
手を離したら涙が一筋流れていて、美しかった。
母親とブローカー、刑事というそれぞれの立場で描かれる物語だけど、どの立場の人にも共感してしまう。