中国と月を舞台に中国の神話的女神"嫦娥{チャン・ウー}"を探すためその伝説を信じる少女が自作の宇宙船で月への旅に出る遥かな冒険が描かれる。作品全体で面白味がどうこうと云うより、製作体制の布陣が貴重で特徴としてある。まずビジュアルはカラフルの出で立ちから『インサイド・ヘッド(2015年)』と、ピクサー映画短編の『Bao(2018年)』のようなモチモチするキャラの質感が、観ていてとても印象的だった。監督が元ディズニーの名クリエイターという節にも大いに納得。またプロットも"現代とおとぎ話"のようなミュージカル調を融合させつつ、世界観壮大にダイナミックに映し出される。空想のようなキャラそれぞれの突飛な言動や想像力が、振り幅満載で観ていてチカチカする。動物？たちのゴキゲンなユニークさやカラフル過ぎる世界観の光明度など友情や信頼を縦軸とする幸福感がみなぎる長編アニメだ。
