Inagaquilala

レベッカのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

レベッカ(2020年製作の映画)
3.5
アルフレッド・ヒッチコック監督の「レベッカ」(1940年)は未見なので、なんとも言えないが、映像がカラーであるだけに、かなりサスペンス色は薄まっているのではないかと想像した。物語の語り手でもある主人公が、モンテカルロで妻(レベッカ)を亡くしたばかりの大富豪マキシムと知り合い、デートを繰り広げる場面などは、ラブロマンスの作品と見間違えてしまうほどだ。

大富豪のプロポーズを受け入れて、彼の住むイキリスのマンダレイという屋敷に移ると、トーンは俄然変化していく。夢遊病の夫、謎を秘めたダンヴァース夫人、そして夜な夜な主人公が幻視する「幽霊」。物語はスリラー作品へと振れていく。レベッカが死に至った海難事故をめぐってのミステリー的展開も続くが、いまひとつのサスペンスは感じられない。先達の巨匠ヒッチコックと比べられては、監督のベン・ウィートリーも少しかわいそうだが、「ハイ・ライズ」(2015年)で見せた意外性は影を潜めている。セレブ夫人の付き人から富豪と結婚することになる主人公役のリリー・ジェームズは好演していたと思う。
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