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女は女であるのkojikojiのレビュー・感想・評価

女は女である(1961年製作の映画)
3.5
真っ赤な傘をさした白いレインコート姿のアンナ・カリーナがカフェのガラス越しに見える。
♪可愛い娘にもどっておくれ
しあわせだったあの日のお前に

シャルル・アズナブールのシャンソン「のらくらもの」が流れる。

スター!アンナ・カリーナがこの歌に迎えられてカフェに入ってくる。
まさにスターを感じさせる登場に、確かにワクワクさせられる。「これこそ映画だ!」とゴダールが言っている。…ようだ。

彼女のための映画。
ゴダールと蜜月の時期。二人のおのろけを見せられているような映画だ。主人公エミールを演じるのはジャン=クロード・ブリアリだが、なんだか監督になり変わって彼が演じているようにしか見えない。

アンジェラ(アンナ・カリーナ)はキャバレーの踊り子。客に肌を見せながら踊ることを仕事にしている。しかしアンナ・カリーナには全くそんな汚れの部分は払拭されていて、最初から最後までその辺りのお嬢さんみたいだ。
彼女は恋人エミールと同棲している。
ある時、アンジェラが突然、子供が欲しいと言い出す。しかも24時間以内に。
エミールは2年もすれば結婚し子供も作れると言って説得するが、彼女は全く聞く耳を持たない。
そんな二人が険悪な状態の時、下の階に住むエミールの親友アルフレッド(ジャン・ポール・ベルモンド)がアンジェラに言い寄ってくる。三角関係が始まる。

この映画はゴダール監督の初のカラー作品。アンナ・カリーナ登場の時の真っ赤な傘🟥に白いレインコート⬜️、真っ赤なストッキングが印象的だが、青🟦のリボンをつけた時の背後の壁の色もこの青を使っていてセンスを感じて綺麗だ。トリコロールを間違いなく意識していたに違いない。ゴダールの色彩感覚に目を奪われる。

アメリカのミュージカルを意識したミュージカル、ただし登場人物は歌わないミュージカルということらしいが、これはわからない。

音楽はこの映画のあと「シェルブールの雨傘」などを手掛けるミシェル・ルグランが担当している。

実は歌わないとされている主人公アンジェラはアカペラで歌うシーンがある。貴重なシーンだが、歌はささやきのようなものだ。

この恋人達、ベッドの中で喧嘩して「口をきかない」と宣言したあと、電気を消す。そして灯りをつけて、互い本をとりに行く。そして本の表紙の一部を使って、再び会話を始める。笑いはするものの、「ハイハイ、そうですか」と言いたくなるようなシーンだ。
「あんた等、こんなことやってるの?
羨ましい」
と言いたくなる。

#1448 2023年 480本目
1961年 フランス🇫🇷映画
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
美術:ベルナール・エバン
音楽:ミシェル・ルグラン
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