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映画 太陽の子のsimpsonsのネタバレレビュー・内容・結末

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

忙しくて、上映開始して、初めて気付いた。そうか、今日は終戦記念日だった。
コロナの大騒動でニュースもあまり原爆、終戦について取り上げなくなった気がする。
原爆を作ろうとする科学者達の心の葛藤と、軍人になることを選んだ弟。
めちゃくちゃ良かった。

「自分だけ生き残るわけにはいかない」
「戦っている兵隊さん達がいるのに自分達は研究なんて」

全体主義
周りのために自己犠牲をしなければならない価値観、雰囲気
同調圧力 相互監視と相互配慮
異を唱えると非国民だと罵られる
長時間労働にしても同じ風潮が根底にある

科学に惹かれる気持ちも、知りたいと思う気持ちも分かるが、
私はやはり人間は原爆は作るべきでは無かったと思う
人間のコントロールできる領域では無いから
科学は恐ろしさも併せ持つ
その時に必要なのは倫理観だ
(丁度去年の終戦記念日にアメリカとロシアの核開発争いに関する映画「ジョーンの秘密」を観ていた)


お母さんが息子のために大きなおむすびを握る姿が忘れられない

太平洋戦争を、なぜ誰も止められなかったのかと、いつも思う
誰だって自分の子供を戦場には送りたくない
でも戦争が始まったら、何も言えなくなる
いや、始まるまでに2.26事件、甘糟事件、総理大臣襲撃、軍部の暴走が始まり、異を唱えられない社会が徐々に形成されていた
だから事が始まるまでが大切なのだが、事は急に起こる
でも予兆は必ずあって、そこで皆んなが流されずに気付いて空気を変えなければならない
昭和時代だから止められなかったとたかを括っていないか?
今なら止められたのだろうか?

「エネルギーのために日本は戦争を始めた」
それも理由の一つだろうが、最終的には軍の士気が下がるという理由で開戦に踏み切った
一体どういう理屈なのか、国民には理解出来ないが、そういった政策的判断が多くの国民の命を奪ったことは更なる検証が必要だろう

コロナで同じような空気を感じる(その前から空気はあったけれど、特に酷くなってきた)
皆、我慢を強いられると、非寛容になり、周りを、自分の置かれている状況を冷静に見れなくなる
ワクチンを打たない決断をした人は非国民なのだろうか
皆それぞれ自分の考えを持っている
考えの違う人を排除していくのだろうか
教育や研究、すぐに結果が出ず、時間のかかるものは後回しだ
ワクチンを外国から買うことに莫大な公費を費やす(いくら払ったかなぜメディアは取り上げないのか)が、国内ワクチンの研究にはどれだけ補助しているのか?
コロナ対策の費用もワクチン接種の為の費用もいくらで、そのお金はどこに流れていているのか
オリンピックを前に騒ぎ立て、収拾つかなくなった感じ
戦争を始めてしまったから、もうやめられない
敗戦国になったら、軍人たちは戦争責任を問われるのだ
保身に走る
後は利権団体がどんどん大きくなり、お金の集まるところは偏り国民の不満が溜まる
そこへメディアが敵を作り出し煽動する
自分の置かれている境遇を
メディアに踊らされることなく、今一度冷静に考える機会が必要だ
そのためには知ることが重要だと思う(本来メディアがその役割を果たすべきなのだが)
知らない分からないから不安だし、テレビに出てくる政府の御用学者や医者の話を信じてしまう
テレビもネットも使う手段であって、こちらが使われてはいけないのだ
やはり本を読んで知識をつけて自分で考えなければと思う
あとは横のネットワーク
コロナで余計孤立してしまっていて近視眼的になっている
ドゥーイは民主主義を理想に近付けるためには教育が不可分だと説いた

「戦争が終わったら、人が1番大事や。その為には教育。結婚はその次や!」
今日この映画を観て、彼らが今の日本をどう思うかと考えた。
物質的には豊かになった
でも精神的にはどうだろう
余裕のない社会
行き過ぎた資本主義経済
非正規雇用
環境破壊から来る災害、コロナもそう
疎外された労働
孤独
最小単位のコミュニティ、家族すら側にいない
大切な弟が亡くなり、共に悲しみを分かち合える人がいるだろうか?
生きて帰って来てと言う人が周りにいるだろうか
研究を頑張れと応援してくれる家族や夢を分かち合う仲間がいるか
夢や志を抱く人がどれだけいるのか
あんな状況でも死ぬなと言ってくれる先生がいるだろうか

映画館には高校生くらいの若い子達も多かったのがせめてもの救いだ

いつも当時の映画を観るとこの時代に産まれなくて良かったと思っていた。でももしかすると、今の時代の方が生きづらいかもしれない。閉塞感
そんなことを生まれて初めて感じた終戦記念日だった
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