どん

ノクターンのどんのレビュー・感想・評価

ノクターン(2020年製作の映画)
3.6

逆さに描かれた顔から伸びる
まつ毛?涙?音符?
気持ち悪いけどなんかじっと見ちゃう。
色彩含め、映画を観た後に分かる
この構図の切り取り方。

これから起こる事柄を予言してウネウネ動く絵、
黄昏のようで明るいけど不気味で鮮やかな黄色。
質感がなんだかミッドサマーみたい。
あっちもポスタービジュアルが異様だったな。

首席ソリストの死と黒いノート、姉妹の確執。
順番通りに丁寧にプロットをつなげ過ぎてて
そんなにアッと驚くような展開はないけれど、
無音での叫び、不協和音と色彩変化トリガーの
配置、表現方法がけっこうゾワゾワした。

ネット配信でのクラシック楽曲の割合は1.5%…!
思わず自分でも検索しちゃった。
確かに少ない。まークラシックと配信は
イメージがつながりにくいか。うーん…
音楽家の人生や後世へ守りつなぐ意識を持った
聴衆の存在への問題提起…という
裏テーマも見えてちょっと考えさせられる。
エンターテインメントは心の栄養やけんね。


姉のイタズラで右手を血に染めてキャンパスを
歩いていた時は皆が遠くからでも振り返って
見てたのに、エンディングではオブジェの上で
全身血だらけになって、その血が乾くほどの
時間仰向けに横たわっていても誰も見ない。

気づかない、見えてない?
ということはジュリエット本人ではなく、
悪魔が渡した最高のメロディーと
引き換えになった「魂の死」の表現なのかも。
薬をいつも3錠飲んだり幻覚を見せたりも
観衆の意識のズレをここにつなげるのね。

魂を亡くしたとして今後の音楽家人生も
あの演奏がピークになるからこそ
んー、どちらにしろバッドエンドなのか。


あれ…こんなカンジで見終わっても
気持ちはなんだかそこまでどんよりしない。

考えてみたらエンドロールがバッサリ短くて
重たい余韻がなかったから。
なかなかセンスあふれる時間演出!
こういうのもありか…

Amazon originalあなどれん。

でもそろそろ映画館でじっくり観て
たっぷり余韻に浸りたいです。
(´∈` )レイトショーない…
どん

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