こなつ

いつかの君にもわかることのこなつのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
4.2
こんなにも切ない物語なのに、溢れ出る愛の欠片、父子の強い絆に震えるほどの感動が胸に迫る素晴らしい作品だった。

北アイルランドのベルファストが舞台のこの作品は、若い父親ジョン(ジェームス・ノートン)と4歳の息子マイケル(ダニエル・ラモント)の物語。

ジョンは窓拭きの清掃員の仕事をしながら、4歳のマイケルを男手ひとつで育てているシングルファザーだ。病で余命宣告を受けたジョンは、自分が旅立つ前にせめて息子マイケルに新しい家族を遺してあげたいと里親を探し始める。理想の家族を求め、何組もの家族候補と会うのだが、なかなか決断が出来ないでいた。自分の不甲斐なさに押し潰されそうになりながら、献身的なソーシャルワーカーに支えてもらい、息子にとって最良の未来を見つけようとしていく父ジョン。

監督が、新聞で読んだ記事から着想を得たという実話に基づいた話に終始涙が溢れる。温かな眼差しと静かな微笑みで、息子マイケルへの父性愛を見事に演じたジェームス・ノートン、たった4歳のマイケルが死の意味を学んでいく姿を健気に演じたダニエル・ラモント、素晴らしかった。

マイケルの未来が幸福であるようにと誰もが願って止まない、感動作。
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