あんがすざろっく

いつかの君にもわかることのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
3.5
いやぁ、これは…
切ないですわ。

どっち目線で観たらいいんだろう。
父親のジョンの目線?
息子のマイケルの目線?


自分の命が残り少ないと知ったら。
ちゃんと理解できる子供にならば、話しておかなければならないでしょう。

本作で余命宣告を受けるジョンの息子マイケルは、まだ生と死というものを理解できる年齢ではありません。
自分がもうすぐいなくなることを、どう伝えたらいいものか。
マイケルの記憶がはっきりとしないうちに、愛情を注いでくれる家族を早く見つけた方がいいのではないか。

しかし、いざ新しい家族を探す段になって、ジョンはなかなか決断ができません。

養子を迎えたい家族と何組も面会するも、果たしてマイケルを大事に育ててくれる保証があるのか。
どうすればマイケルにとって、最善なのか。

マイケルと共に過ごす、残り少ない時間。
どこまでも息子を優しく包み込むようなジョンの姿は、やっぱりマイケルはこんな父親に育ててもらいたい、と思わされます。
それが叶わないことは、ジョンも観客も分かっているんです。
作品を観ながら、僕もどの家族なら、マイケルは幸せになれるだろう、と考えてしまいました。

どんどんやつれていくジョンを演じたジェームズ・ノートンも素晴らしかったのですが、
僕はマイケルを演じたダニエル・ラモント君が忘れられません。
決して愛嬌はないし、感情を表には出さない。
でもそれが自然で、本当にマイケルの行く末が気になり、彼に幸せが訪れることを願わずにはいられません。


「おみおくりの作法」のウベルト・パゾリーニ監督が、実話を元にして描いた物語。

僕としては、温かい気持ちにはなれず、観終わった後ひたすらに物悲しくなってしまいました。
あの後マイケルがどんな人生を歩んでいくのか、そればかり気になってしまいます。
やっぱり僕は、父親目線で観てたんだな。
あんがすざろっく

あんがすざろっく